my forest,my home。自分の森で自分の家をつくる。ど素人アラカン夫婦二人が一級建築士のサポートを受けながら、森の中の6坪ハウスをDIYするプロセスを工程ごとにまとめた記録です。
棟上げの次は壁下地を張ってサッシを入れていきます。またまた難易度が高そう。でもこれを乗り超えると家らしくなる姿が見えてくるはず。そんなことを妄想しながら作業スタートです。
釘の調達
壁を留めるのに欲しいのがCN50という釘。一般的によく見かけるN50釘より径が太くなっています。太い釘だと切れることがないので壁に適しています。一方のN50は屋根の合板留めに適しています。
これがまたまたホームセンターで見つかりません。電話して問い合わせしてもどこも置いていません。そんな中、ムサシにあるかもしれないとの情報ですぐに走ります。ありました!よろこび勇んで買いました。ところが・・・
現場について開封するとワイヤーでつながっているではないですか!そう、これはエア用だったのです。
買い直しを考え、金物屋にも行ってみたけど置いていません。250本巻きを4つ、返品もありでしたが、ヨメさんが一つひとつワイヤーをカットする内職でクリア。思わぬ展開でした。
打ってみるとわかりますがこの釘、めちゃくちゃ強い。なかなか入っていかないので抜ける気がしません。N50と比べると歴然とする感じです。
建築業界、大工さんの世界では当たり前のものが一般では普通と違う。何度も経験しました。結局はモノタロウのようなネットからの調達ということになります。
早め早めにどんなものが要るかあたりをつけて用意しておいた方がいいですね。
間柱をつける
壁用合板の釘当てになる間柱を設置します。2階部分は垂木に合わせて斜めカットが必要です。手のこで作業しましたがずれてしまってうまく切れません。
何度もやっていると目線をのこぎりの右側に置くとうまく切れるようになりました。理由はわかりませんがコツってあるんですね。
合板を貼る
縦が2160ミリという特殊サイズなので、流通している1820ミリでは足りません。1820ミリをそのまま使うと貼る側に余分な手を入れないといけません。
ホームセンターでは入手できそうもないので、建材屋さんを探しました。結果、三十(さんとう)サイズ、3030ミリのものが見つかりました。割安だったので購入、カットすることにしました。
合板と合板はピッタリくっつけない方がいいと教わりました。1ミリ程度でいいので空けておくと。家は揺れるので板と板が干渉するのを防止するのが理由です。うっかり忘れていて最初の3枚はくっつけてしまいました。
釘は15センチ以内の間隔で打っていきます。軸が太いせいかかなり強力、これならはがれることはなさそうです。手打ちをすると労力が掛かります。
一枚あたり50本近く打ち込みかつ力の要る仕事、ヨメさんも頑張って手分けして進めました。
座金や羽子板があるところは、くり抜きます。紙で台紙をつくってなぞる方法を試しましたがなかなかきれいには仕上がらず。結局現物をあてながらカットして合わせていくことに。脚立の上がり降りもあって予想以上に手間が掛かりました。
2階の壁貼り
屋根の勾配に合わせて単純な四角ではないため、サイズ調整に苦労しました。合わせるところを撮ろうとした動画はtake7までいく始末。ああでもない、こうでもないとやっていたらすぐに半日。おまけに30度の炎天下でバテバテ。
桁や金物があって変則になった部分は揃わなくて何度も何度も修正。だんだん頭の中がパンク、思考回路が働かなくなったのでその日はやめということも。
横サイズが足らなくて間柱と接していないところはもう一本間柱を抱かせて留めていきます。
壁は柱と桁を面で固める役割を果たすとのこと、四方を留めるのは必須ポイントです。
サッシ取付
さあ、いよいよサッシ。まずメーカーから大きなサイズは枠だけ、ガラスがセットになった小さなものとが届きました。あいにくの雨の中、運び込んで組み立てをしてもらいました。
サッシの構造が難解なのと水平位置が重要とのことでサポーターのレクチャーを受けました。
基準になる水平位置は仕上がり床面から1メートルのところに計測器で墨付けをしてもらいました。今後の設置は全てここから何センチ上、何センチ下という採寸になります。ここはプロの手が欲しいところでした。
窓台の受け皿
サッシの受けになる部分を窓台と呼びます。荷重が掛かるので45ミリの厚みの材を使います。
窓台は柱に刻みを入れるのが本来のようですが、加工時間が掛かるので受け皿になる間柱を左右に取り付けます。これで高さを確定します。
窓台を付ける
窓台は何といっても水平になることが重要。水平になっていないと閉めたときにスキマが開いたり、窓が開かなかったりするそうです。水平器をあてながら間柱を微調整カットして慎重に合わせていきました。
まぐさを付ける
サッシの上につける材をまぐさといいます。ここでも水平が重要です。材は垂木に使ったものを流用しました。天然乾燥なので反った箇所が多く、できるだけまっすぐな部分をカットしていきました。
まぐさを付けたところで、いったんサッシの枠をはめてみました。あれ?寸法が合わない!何で何で図面と現物を見比べます。いろいろやって、はめる位置が間違っていることがわかりました。初めて見る品、初めてやる作業、手探りの連続です。
間柱を付ける
ここでも水平を再チェックします。窓台は荷重を受けられるように、まぐさは上から吊るイメージです。
周囲の合板を貼る
窓枠に合わせ、合板をカットして貼り付けていきます。釘打ちなので一度貼ると修正できません。サッシ枠のビス位置と釘が干渉すると打てなくなります。
いったんコーススレッドで仮止めして、枠をはめ、水平を確認し、ビス位置に墨を付けるといった細かい作業をやっていきます。
2階部分は足場の上でやっていきます。重さのある窓にキズがつかないように丁寧にゆっくり・・・
めちゃくちゃ時間のかかる工程でした。
サッシ枠を取り付ける
貼り付けた合板の上にサッシ枠を専用ビスで取り付けていきます。
下は窓台に合わせ、上はまぐさとの間が4~5ミリのスキマがあれば正解です。サイズきっちりだとはまらなくなります。
左右にあそびがあるのでビスが打てる位置で調整します。スキマは木でパッキンを入れます。細かい作業、手間が掛かります。
サッシ枠は下から固定、左右にも歪みがあるので水平器をあてて垂直な位置で留めていきます。
最後に上の部分は少し上げ気味にビス止めします。まぐさが時間の経過と共にだんだん下へたわんでくるのを見越しての留め方、サポーターが細部をレクチャーしてくれました。こんなこと素人には絶対にわかりませんよね。
障子(ガラス)を入れる
あとはガラス本体です。これを障子と言います。障子と言えばあれですよね?変な言い方です笑。
左右、裏表、上下をすったもんだしながら何とかはめ込み完了!こうして人生初のサッシ工事はフィニッシュしました。いやあ、神経を使う作業でした。
兎にも角にも裏面は出来上がりました。よろこびもひとしおです。これから表と横で大きな窓が残っています。ガラスはとてつもなく重いみたい。まだまだ試練は続きます。
外付けサッシ
家の両サイドは外付けサッシです。前面の窓が大きくて柱が少ないため、壁をつくらないと構造上弱くなってしまうからです。
外付けサッシは文字通り、外に付けるので窓台など載せるところがありません。その分難易度が上がります。
水平に設置するため、ガイドになる板を貼り付けます。
サッシ右半分は貼った合板の上から深さ2センチ強の切り込みを丸のこを使って入れます。途中にある柱も切ります。もちろん水平であることが条件。そもそも柱に切り込みを入れるということに気が引けます。
かなりの難易度、しかも一発勝負。でもやるしかありません。水平を保つために丸のこを載せる位置にあて木をしてチャレンジ。冷や冷やしながらスイッチオン。何とかうまくいきました。
一番困ったのは仕上がりのイメージがないことです。どう付けば正しいのかわからないまま手探りの連続はつらかった・・・
障子のはめ込みは、かなりの重さでとてもヨメさんと二人でというわけにはいきませんでした。ここでもサポーター建築士にひと肌脱いでもらいました。感謝、感謝。
高所作業の臨時足場
最難関はロフトに付ける西側面のサッシ。高所でここまでの工程と同じことをやります。ここは高さが5メートルほどあります。はしごでできる作業ではありません。足場が必要です。
足場をどうしたものか?もちろん業者さんに端んでレンタルする手はあります。ただこの限られた箇所だけのためにその時しか使わないものに費用をかけるのは気が引けます。自分で何とかならないものか・・・
悩み倒していると、サポーター建築士が救いの手を伸ばしてくれました。「制約はありますが、余っている垂木で臨時足場をつくってみませんか?」「やります、やります!」即答です。
こんな手があったのか!という感じ。木は繊維方向に強度があるので垂木を立てて取り付けていきました。
次の難関が外付けサッシをはめ込むための丸のこの切り込み作業。空中での丸のこ作業には本当にまいりました。恐怖極限の中、何とかやり切りましたがもう二度とやりたくない感じです。(笑)
ところが翌日、サッシ枠を入れようとしたらなぜか入りません。昨日あんなにうまく入ってよろこんだのに何で?焦りました。
理由は梅雨時の湿気を木が吸収して膨張し、切り込みを縮めてしまっていたからとわかりました。工業製品ではない自然の木材。ほんとにいろんなことが起こります。
解決するには再度丸のこの刃一回分の切り込みを入れるしかありません。泣く泣くもう二度とやりたくなかった作業に再チャレンジ。何とか苦境を乗り切りました。
南側の大きなサッシ
最終仕上げとして正面にくる2枚の大きなサッシを取り付けます。
上下がほぼ土台から桁サイズ、土台のみ60ミリ上げれば入る予定です。
特注で土台に留める105×60ミリの材を製材屋さんに切ってもらいました。ホームセンターでは絶対に手に入らないサイズ。小口で対応してくれる製材屋さんに感謝、感謝。
右側のサッシ枠を仮で入れると、何とスッと入るではないですか!ここまで何度も何度も修正を重ねてきた中にあって初の快挙です。
最後に一番大きなサッシを残すのみ。同じように入ってくれれば・・・と期待しました。
が、そうは問屋は卸しません。仮で入れると上の部分が2ミリほどあたってしまいます。
桁を削ればいいかな?と考えてましたがここは建築士サポーターへ電話。すると窓台であてた材を2ミリ削ってくださいとの回答。
むむ、理解したけどどうやって削ればいいの?丸のこのガイドをああでもない、こうでもないと考え尽くして、間に何かかませばいいと気づきました。
あとはいつも通り実行あるのみ。上下で2往復、何とか2ミリの薄さが削れたときは感動、入れてみるとスッと入りさらに感動。やったあ!と歓声をあげました。
ところがところがよろこんだのも束の間。合板を貼ってさあ入れようとしたらまたまた入りません。途方に暮れました。
いろいろやって少し押し込み気味にすると何とか納まる。垂直が完璧ではないのにモヤモヤが残りましたが、これで良しとしました。
梅雨時期だとわずかの時間でも水分を吸うので膨張したのかもしれません。まさに木は生きてますね。
兎にも角にも正面2枚が収まりました。いやあ、雰囲気が一変しました!
サッシを取り付ける位置
例えばロフトのサッシの高さは自由でした。上の方へ付けた方が光が入ってくるかも?と最初高い位置へ枠を付けました。その後、サポーターに相談してみました。
「どう過ごすがが重要。ロフトでは立って過ごすことはほとんどなく座っているでしょう。となると座ったときにサッシから景色がどう見えるか?
そして1階リビングにいるときロフトにあるサッシから景色がどう見えるか?といった感じです」
1階から上を見たときなんて頭にもありませんでした。なるほど!と思いました。会話をしながら「どこにいても森が見える」というところを大切にしました。サポーター建築士のアドバイスのおかげです。
1年後に仕上げ作業
こうして苦労を重ねたサッシ取り付け。その後いろいろと手掛け、内装の最終段階でようやく仕上げることができました。
サッシと大もとの窓台との板とのスキマが6ミリ。パッキンをどうつくるか悩みみました。何とかやり方を編み出しクリア。
実際に合わせてみます。
最後にダメ押しで網戸の設置。これなしで森の暮らしは成り立ちません。
それにしてもサッシ系の取説って、何でこう難しく書かれているんだろう・・・。サッシは付属のビスをどこへ打つのか確認した方がいいです。打ち忘れが出るので。
試行錯誤を繰り返し、やっと完成へ。間を入れると長い工期でした。
まとめ
壁はりはそれなりの枚数、留める釘の数がハンパなしというのがまず感想。エアー機を使えばこんなことにはなりません。でも全てを手作業で留め切ったことで家への愛着が増しました。
そして斜め屋根に合わせてカット、寸法を合わせてまたはしごに上るという繰り返し。我ながらよくやったという感じです。
サッシはとにかく神経を使いました。ちょっとしたズレが枠をはめると大きなズレにつながります。でもサッシが入ると一気に家らしさが増すのを実感。窓は重要です。
どちらも高所作業がどれだけ安全かつ効率的にできるかが円滑化のキモ。足場の重要性を体感するステップになりました。