開発許可申請と消防署への届け出|森の開拓体験フィールドづくり

フィールドを開拓しようと考えたら、行政にいろいろと事前に相談に行く場面が発生します。いろいろと煩雑ですがここを抜かすと後で大変な目に遭います。備忘録として、ここまでやってきたことをまとめて記しておきます。

目次

都市計画の確認

新しい場所で新しいことをやるので、まったくの手探りでしたが、その中の一つに都市計画というものがあります。それを司るのが都市計画法です。

都市計画法は、各々が勝手に土地を造成し、建物を建築したのでは都市全体が無秩序になります。そこで土地の利用や建物の建築を制限したり、一方で土地利用や建築を促進することで、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために定めれた法律です。

具体的には、今からやろうとする場所が体験フィールドといった場所にできるのか否かというところがスタートラインです。都市計画区域区分、建築確認申請、接道、森林伐採の規制・・・知らない用語がオンパレードになります。

「市街化調整区域、農地、接道がない土地、保安林等には基本的に家は建てられない」こんな言葉も耳にするようになりました。いったいどうしたらいいんだろう?そんな気持ちでした。

都市計画図

まず都市計画なるものを把握する必要がありそうです。そこで物件探しがしやすくなるように都市計画図を入手しました。都市計画課で購入できます。原則として都市計画区域に入っているところは建築確認申請が必要になるといった具合です。

街中は市街化区域、その周りののどかなところは市街化調整区域、で、どちらにも入っていないエリアもある・・・

こんな感じでした。今まで動いてきた経路もマーキングしてみました。こうしてターゲットを決めていたのを思い出します。なかなか思ったようには動けませんでしたが・・・

余談ですが、長野県の原村、一部地域を除いた北杜市は都市計画区域に入っていないそうです。この場合、比較的自由度高いフィールド開拓ができます。だから人気があるのですね。

(※もちろん「なんでもアリ」ではなく、法的な検討はしなければなりませんし、確認申請は不要でも県や行政区で定められた条例によって一定の制限はあります)

開発行為

最初に確認しないといけないのがフィールドが開発行為による許可の対象となるか否かです。

開発行為とは、建築物の建築、第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設、第2種特定工作物(ゴルフコース、1ha以上のレジャー施設・墓園等)の建設を目的とした土地の区画形質の変更をすることをいいます。

区画変更とは用地の分割、形式変更とは切土・盛土、山林を宅地に変えることです。例えば、道路や水路つくる場合は区画変更、山を切り拓いてゴルフ場にする場合は形状変更、山林や農地を建物を建てるために敷地にする場合は性質変更といったイメージです。

都市計画には市街化区域、市街化調整区域、非線引区域の区域区分があります。

市街化区域とは、すでに市街化を形成している区域もしくはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域です。市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき地域のことで、このまま緑を保存したいような区域です。非線引区域とは、市街化区域と市街化調整区域のどちらかの区域区分が定められていない区域のことを指します。

こうした区域区分ごとに開発行為は決められています。例えば自分の敷地が市街化区域にあって面積が1000㎡以上だったり、市街化調整区域だったら面積にかかわらず必ず開発許可をとらないといけないといった感じになるわけです。

開発許可が必要になるケース

  • 市街化区域で面積が1000㎡以上の場合
  • 市街化調整区域は面積に関係なく対象
  • 区域区分が定められていない(非線引区域)・準都市計画区域で面積が3000㎡以上の場合
  • 上記以外(都市計画区域外・準都市計画区域外)で面積が1ha(10000㎡)以上の場合

ただし、市街化区域以外で農林漁業の用に供する建築物の建築、業を営む者の居住用建物に伴うものは許可不要になります。参考までに駅舎、図書館、公民館、変電所、公園といった公益的建築物も許可不要となっています。

行政窓口確認の体験談

ここまでは法律的にどうかの話でした。じゃあ実際動くとどうなの?ということで僕たちの体験談を紹介します。

市役所では都市計画課という部署が窓口になりました。今まで全く縁のなかったところです。右も左もわからないときにも一度行って話をしたのですが、そのときはあまり要領を得ず、こんな書類で説明を受けました。

とにかく開発許可申請の書類が要るので、作成して持ってきてほしいと言われました。もらった書類はこんな感じ、仰々しいですよね。

記入できない内容も多く、とりあえず署名捺印したものを持って、数日後、再度その部署を訪ねました。すると、前回と違う担当者で話がつながらず苦慮していたところ、課長さんに代わり、俄然進み方が変わりました。

「近隣(地権者)に説明した方がいいですね。方法としてはポスティングでもいいです。その方があとあとトラブルになりません」

「建築基準法がポイントになります。法律に則り、粛々とやっているという流れをつくるといいです。現段階は、いろいろと煩雑になるので、開発エリアは1000㎡程度、管理小屋がメインでいくというところからスタートすることをおすすめします。あと、この後、消防署にも行った方がいいですね」

そのときのメモです。僕たちの事情もふまえ、担当外のことを含め、適切なアドバイスをしていただきました。とても助かりました。その足ですぐさま消防署へ行きました。

何をやっていたのか後で調べてみました。開発行為の対象となったときは申請手続きに移ります。申請者は開発行為をしようとする者で、土地の所有者である必要はないが土地の権利者の相当数の同意が必要になります。

申請先は都道府県知事です。書類は開発区域の一、区域および規模、予定建築物の用途、設計、工事施工者などを記した申請書に、開発行為によって影響が出ることが予想される公共施設があるときはその管理者との協議書や同意書、地域住民への説明経過報告書などを添付します。

その後、行政の審査を受け、許可を得られたらやっと施行できるという流れです。開発行為の内容に変更があったときは変更の度合いにより許可もしくは届け出が必要です。ざっとみただけでもどれだけ大変かがわかると思います。

行政での手続きは縦割りなので、いろんな部署にまたがって確認が必要になります。気をきかせてここにも行ってくださいという担当者もいますが、それは稀なケースではないでしょうか?

なので「他に必要な部署はありますか?」と尋ねてみた方がいいです。後になって申請がもれていた・・・なんてなると後戻りしますから。

僕たちのフィールドは都市計画区域内の非線引き区域で3000㎡を少し超える面積で対象になるのですが、一度に全てを造成するわけではないので今回は対象外になるという見解でした。開発許可を得るには、事前協議や添付図書も増え、時間と手間がかかる大変な手続きだということを知っておきましょう。

消防署への届出

消防署なんて行ったことがありませんよね。どこで誰に訊けばいいのか、わからないので事務所でその旨話すと、「開発行為」と伝えて担当の人が出てきました。

建物があるか否か、開発行為で県の申請が必要になる。ドラッグなどがその例になる。

用途でかわる。多目的なら消防法に関係する。その際は火災警報機などが必要になる。お客さんを入れないならOK。消火栓が来ているので、消火器、灰の集積場などあればOK。書類提出などは不要。

といった説明を受けました。想像したよりはるかに親切で助かりました。とりあえず大げさなことはなさそうでほっとしたのを覚えています。

「建物の間取り図面ができたらもう一度来てください」との話。実は図面ができたので近々行く予定にしています。

焚き火は近隣通報に注意

後日談ですが、フィールド開拓を始めて2ヶ月くらい経ったとき、消防広域本部の人が現地を見にきました。何だろう?とビビりました。

「焚き火をする場所をつくろうとしているようで不安」という住民からの匿名の連絡が入ったのが理由です。「どこでやるのか?」「いつ(季節)やるのか?」「規模は?」などヒアリングされました。現地写真も撮影されました。

乾燥した時期は過去にも火災が発生しているので、特に注意してほしい、消火器具も用意してなど指示を受けました。

まとめ

今回は都市計画関係、消防署関係について書きましたが、まだ他にもあります。広い山林や森林を活用して暮らしづくりを始めるためには行政への事前説明を怠らないことです。時間と手間がかかりますが、後々指摘を受けることを考えると、一度に集中してやっておいた方がいいですね。

前向きに考えて、行政担当者と顔見知りになるくらい関係づくりができたらベストではないでしょうか?良くしておけば困ったときに助けてくれるかもしれません。

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