森で暮らすってどういうこと?どこから始めるの?その第一歩は「通い森暮らし」です。前回はその入口を紹介しました。

今回は前回の記事を受けて、「じゃあどうやって森を持つの?」「お金はどうするの?」「土地はどうやって探すの?」など少し踏み込んで具体的な解説をしていきます。
都会にいながらにして、森の暮らしをはじめていきたい・・・漠然と思い始めた人のお役に立てばうれしいです。
「森を持つ?なにそれ?」と思っていた、かつての自分

今でこそ自営業ですが、僕も15年ほど前までサラリーマンをやっていました。子供が小さい頃は年に何回かファミリーキャンプに行く程度。「自然の中っていいよね・・・」と月並みに考えているレベルでした。
ある時、「山を買いませんか?」と知り合いに突如言われ、「山を買う?なにそれ?」とキョトンとした経験もあります。
自分でやり始めた仕事の流れで、山の中のログハウスと都会の二拠点生活をはじめ、「山林」という用語が急に身近になりました。
その後、新しいフィールドを本格的に探し始め、少しずつこの世界を知るようになりました。知ってみるとこれがなかなか面白い。そしてさまざまな課題を抱えていることも知ることになります。
一般人には縁がない山林=森。そんな森を身近に感じるようになると、今まで見えなかった景色が見えるようになります。

「自分の森」という言葉の響き。いいよね~、ロマンがあるよね~、そんなノリでまずは軽く扉を叩いてみてください^^
森を「持つ」って、具体的にはどういうこと?


そもそも「森を持つ」って何を意味するのでしょう?実は選択肢はひとつじゃなかったりします。
- 山林を購入して自分の森にする
- 森付きの古い別荘地の土地を買って整備する
- 地元の地主さんから土地を借りて使わせてもらう
- すでにある拠点(小屋や小さな家)を引き継いで活かす
などなど、「買う」だけでなく「借りる」や「活かす」パターンもあったりします。
僕が選んだのは、別荘地に隣接した放置された山林を購入して、自分たちで開拓していく方法。


人の手が入っていない山林のゼロからの開拓は正直大変でした。倒木を動かしたり、スコップや鍬で道を削ったり・・・。整備なんて呼べる以前の作業からのスタートでした。
でも、その分、自分たちの手で少しずつ整えていけるプロセスに醍醐味を感じるようになっていきました。



他では味わえないこの感覚と魅力を一人でも多くの人に知ってもらいたい!その想いがこの仕事を始めた理由の一つだったりします。
森って高い?いいえ「30万円の森」もあります


不動産というと「何百万円」「何千万円」といった単位を想像しがちですが、森付きの土地に関してはちょっと事情が違います。
放置された山林には宅地のような相場はありません。ほったらかしの山の敷地ですから^^ でも現実的に自分たちが暮らしていける森を見つけていくのは至難のわざです。
生活レベルが確保できそうなそれなりのところを探していくことになります。「山林」などで検索するといろいろと結果が出てきます。
すると、「山のある敷地そのもの」も取り扱いがあったりします。広さも値段もピンキリです。見ていても何を基準にチェックしたらいいか全くわからないような代物です。
次に出てくるのが別荘地です。別荘地エリアで放置されている区画だと30万〜100万円台で購入できることも珍しくありません。
たとえば僕たちが住む別荘地でも、50坪〜100坪の区画が数十万円からご紹介できる場合もあります。別荘地のメリットは区画まで水道や電気がすでに通っていることです。
何もされていない山林は、こうした生活インフラをどう引き込んでくるかからのスタート。ある意味、途方もない計画を立てていかないといけないんですね。



僕たちが購入したのは単なる山林だったので、水道・電気などイチからやりました。時間と手間とコスト、三拍子揃っています^^;
別荘地だと、購入後に多少の整備費(伐採や草刈り)や、管理費、固定資産税なども発生します。月々に直すと携帯代より安い価格、自分で全てをやるよりはベターな選択だと思います。
安さに飛びつく前に。「土地選び」3つの注意点


とはいえ、「安ければOK!」ではあまりに危険です。森の暮らしを長く愉しむためには、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 道はあるか?車で入れる?
→ 意外と多いのが「安いけど道が崩れている」土地。何より大事なのが「接道」。これがないと建物は建てられません。 - 水・電気・ネットは使える?
→ 公共水道は?なければ井戸や簡易水道の選択になります。電気、ネットの引き込み状況も確認が必須です。 - 近隣の環境は?管理体制は?
→ 近隣にそれなりに住民がいるか否か。過疎化が進んでいる場所だと孤立してしまうことも。
実はこのあたり、山林物件の扱いに慣れていない不動産会社なら見落とされることがあります。僕たちも実際にこちらが考えていることが相手に伝わらず、とても苦労した経験があります。



こうした苦い経験をふまえ、宅建業免許を取ることにしました。できるだけ意向を汲み取って、実体験ベースでサポートすることを心がけています。
どうやって探せばいいの?ネット以外の出会い方


よく「森付きの土地はどこで見つけるんですか?」と訊かれることがあります。たしかに、ネットの物件サイトでも検索できます。でも…
本当に森の暮らしに適した土地は、ネットに出てこないことも多かったりします。一般人目線だと使い道のない土地と判断されてしまうからです。
森の暮らしに精通し、現地に根を下ろしている人が間に入ることで、そういった土地とつながるご縁が生まれることもあります。
併せて、まずは通ってみるのもすごく大事です。「季節ごとに森がどう変わるか」「近所の空気感」などは一回行ったくらいではわかりませんよね。



ネットは入口にはなりますが、それだけではどうしようもないです。
はじめの一歩は「買う」じゃなくて「借りる」「体験する」でもOK


「いきなり森を買うのはちょっと勇気がいる…」という気持ちもありますよね?そんなときは、まず森の一角を借りて焚き火やDIYを体験してみるのもありです。
ちなみに僕たちの森プラスフィールドではこんなプランもあります。
- 森の暮らし週末体験(半日〜1泊)
- 森の暮らしDIYワークショップ
- 将来的に土地購入したい人のための通い体験プログラム
通っていくうちに、自分に合うかどうか自然にわかるようになります。森の暮らしって、「住む」より先に「通う」のがちょうどいいやり方だったりします。
まとめ|森は「買うモノ」じゃなく「共に育てる時間」
森を持つって、特別なことのように聞こえるかもしれません。でも本当は「誰にでもできること」なんです。
大切なのは、完璧を目指すよりも、ひとつひとつ、自分のペースで重ねていくこと。
木漏れ日のなかでのんびりお茶を飲んだり、薪を割ったり、木枝を拾ったり、草を刈ったり・・・。
そんな「なんでもないけど豊かな時間」がいつの間にか人生をじんわり変えていくのだと思います。



実際に何も知らないところから経験してきて伝えられる実感です。
次回予告|「森に通うって、実際どんな感じ?」
次回は、実際に森に通う暮らしのリアルについてお届けします。
- どれくらいの頻度で通う?
- 移動や宿泊はどうする?
- 日常と森をどう行ったり来たりするの?
そんな「リアルな通い森暮らし」をできるだけ具体的にお伝えしますね。お楽しみに!