my forest,my home。自分の森で自分の家をつくる。ど素人アラカン夫婦二人が一級建築士のサポートを受けながら、森の中の6坪ハウスをDIYするプロセスを工程ごとにまとめた記録です。
透湿防水シートをとりあえず貼り終えました。
続いては通気胴縁を付ける工程です。通気胴縁(つうきどうぶち)とは、外壁材と壁との間に通気用の空間をあけるために設置される下地材です。断熱材や構造材と外装材の間に通気層をつくるために取り付けます。
また外壁材を留めていくための下地にもなります。外壁材は縦に貼っていくことに決めたので、胴縁は横に付けていきます。
野縁
早速作業に入りたいところですが、外壁材の納品が遅れています。途中で雨天の日も想定されます。どうしたものか?セルフビルドには予期せぬことが普通に起こります。
そこで室内天井板を留めるための野縁を付ける作業を並行してやることにしました。野縁とは、天井板などを貼るための下地の骨組みとなる細長い角材のことをいいます。
当初図面では計画にはなかったのですが、屋根からの熱がそれなりにあること、天井板をきれいに一枚もののように仕上げることを目的に建築士サポーターが提案してくれました。
垂木は8メートルほどあります。4メートルの材を継いでいくことになります。まずは垂木の両端に野縁を付ける作業からスタートします。両端は天井板を固定するための両端になるので重要な箇所です。
「これでいいんだっけ?」1本目を付け始めてヨメさんが言いました。「屋根からの幅が同じじゃないと良くないんじゃない?」「うん?」作業の手が止まります。
ヨメさんの「ちょっと待った!」はちょくちょくあります。「え~、今やり始めたところなのに・・・」というタイミングばかり。「なんだよぉ」という気持ちになります。
実際に測ってみました。するとなんと・・・
母屋の下25センチに対し、先端部分は23センチ。2センチも違います。このまま進めると天井材を貼るときにでこぼこになってしまいます。「う~ん、むずい!」思わず声をあげました。
僕はアバウトで先に行ってしまう性格、こうしてヨメさんのちょっと待った!に何度も救われてきました。さあ今から作業というタイミング、身内なのでついついいやな顔をしてしまいます。要注意!
建築士サポーターに電話すると「基準にするのは母屋の近く。真ん中のあたりで測ると屋根が浮いていたりする」とのアドバイス。基準値を決め、事前に墨付けして合わせながら留めていくことにしました。いやあ、思った以上に手が掛かります。
野縁を固定するために吊り木をつけていきます。吊り木とは垂木と野縁を一体化させるものです。作業を進めながら先に吊り木をつけておいた方が効率が上がることがわかりました。
やったこともない作業、手探りでやりながらその中でベターを見つけていく・・・いつも通りです。
吊り木にする材が足らなくなったので、その辺に転がっている同じサイズの端材を利用します。ビスを打つと硬さが違う。打ちやすさも違います。
製材屋さんが「どこに使うの?」「だったら柔らかい方がいいね」と言っていたのを思い出します。場所によって材の種類を使い分ける、なるほど!という感じです。
狭くて身動きしづらい屋根裏、屋根から釘が出ていて頭に当たる難所、そして何より真夏の酷暑の中、何とか作業は進行。垂木7本への野縁設置が完了しました。出来上がった景色は壮観でした。
胴縁
続いていよいよ胴縁作業です。胴縁とは外壁の仕上げ材を固定するための下地材のことを言います。またまた出ました建築専門用語。用語辞典があると手元にあるとうれしいのですが・・・。
手始めにサッシまわりの面積の狭いところからやってみます。
サッシの隅の幅がないところに胴縁をどう付けたらいいのか?縦に付けると外壁板を留めるところがなくなります。じゃあ、横に向けて付けるのでいいんだろうか?悩みの中で悶々が始まります。
いつもこうして作業の手が止まってしまいます。間違って付けたら全てやり直し、増してタイベックに多数の穴が開いてしまうなんてとんでもない話です。
たまらずサポーター建築士へ電話。細かいことばかり訊いて申し訳ないと思いつつ・・・。答えは「横向きで付ける」とのこと。こうすれば正しいがわかると安心して作業スピードが加速します。
通気口
胴縁を縦に付けていくときは胴縁と胴縁の間に通気口ができます。僕たちは横に付けていきます。となると通気口はどうなるんだろう?ということになります。
調べたり、考えたり、またまたここでも悩みまくって、互い違いにスキマを開けていくことにしました。実はこれが作業の手間を増やすことになります。
単に互い違いという簡単なものではありません。上下で少しずつずらしていくなら、各々寸法が変わることになるんですね。結局、一本一本採寸してカットしていく段取りになりました。
これが正しいやり方なのか否か見当もつきません。念には念を入れてという結果です。調べ過ぎて作業が前に進まないよりはやってみる。いつものパターンです。
墨で線をつける
もしかしたら不要なのかもしれませんが、やはり基準になる線が引いてあった方が留めやすいです。あわせて柱と間柱があるところにもマーキング。外壁板を留めるときにきっと必要になるだろうという読みです。
シートの上からだとどこに柱があるのかわかりません。玄能で叩けば音でわかる、そんな職人のようなことはできません(笑)下地センサーなるものを購入して調べていきました。
シートの上をずらしていくと、下地に木があるところに来ると赤いランプが光る仕組みです。酷暑の中でセンサーをあてているとしょっちゅう赤ランプがついてわけがわからなくなることも・・・こんな足跡です(笑)
後日談ですが、作業上この印は不要でした。でも下地センサーなるものを知ったので良しとします。
サッシまわりの胴縁
サッシまわりは特に防水を意識しないといけません。さてどうやって貼っていくんだろう?いろいろと調べて、防湿防水シート「タイベック」にマニュアルが載っていました。基本の図面にしました。(引用;タイベックマニュアル)
屋根から流れてくる雨水の道筋をつくるのが大切。水が途中で溜まってしまうとNGです。スキマをつくると虫が入ってくるリスクが出る、一方で湿気を抜くためにスキマをつくった方がいい。難しい選択があります。
高所作業はやっぱり足場
西側は5メートルの高所作業。以前、悪戦苦闘して組み立てた足場の出番です。久々に上に登ると足がすくむ。垂木と垂木の間の胴縁サイズを恐々測ったり・・・やはり高所作業は地に足ついた作業の倍の時間が掛かります。
とかなんとか、足場作業はやっと完了。
足場のない高所ははしごに乗りながらの作業。上に行けば安定しないし、老眼でビスは定まらないし。いやいや進みは遅い、遅い。
後になるほど効率上がる
途中から腰袋を付けました。はしごで上まで上がったらメジャーがない、メジャーはあるけど書くものがない、打とうとしたらビスがない・・・こんなことの繰り返しが一気に改善します。最初からやればいいのにね(笑)
最初の頃はカットした胴縁を一つひとつ壁にあててビスを打っていました。こうすると当たり前ですが打ち込みに時間が掛かるし、高所作業だとうまくいきません。
そうか、下でまとめて打っておけばいいんだ!終盤戦になって気が付きました。いつものことですがコツを覚えるのは終わりあたり。いつかまたやるときには忘れてイチから・・・なんてことになりそうですね。
角と屋根斜め部分
ほぼ仕上がり最後に詰めで2か所残りました。一つが四隅の部分と屋根斜めになった端の部分です。何となくこういう感じなのかな?とは思ったものの、ここはちゃんと確認しないと。
建物の角は写真のままで大丈夫です。縦に貼る必要はありません。 屋根との取り合いはスキマを開けて斜めに貼ってください。
サポーター建築士からのコメント。なるほど、これで安心して進められます。
まとめ
胴縁は間が45センチあるし、割と早くできるかも・・・と高を括っていました。ふたを開けるととんでもありません。節々で「どうしたらいいの?」という疑問だらけ。
小屋であれば適当に進めますが、家を建てるとなるとそうはいきません。疑問点は湯水のように湧いてきました。
さらに酷暑という条件。屋根に近いところは頭が呆然とする感じで長時間作業はきびしいものがありました。高所作業もスピードががた落ちです。そんな状況で結局気がつくと5日弱かかっていました。
毎回のことですが、最終的にどうなるのか、そのために何をすればいいのか、今やっている作業は何につながるのか・・・先が見えない中で作業するから疲れるのだと思います。後から考えるとやっていることは「なんだ、こんな程度だったんだ」と振り返る。その繰り返しがセルフビルドという感じです。