my forest,my home。自分の森で自分の家をつくる。ど素人アラカン夫婦二人が一級建築士のサポートを受けながら、森の中の6坪ハウスをDIYするプロセスを工程ごとにまとめた記録です。
外まわり作業がやっと終わり。これから家の内装作業に入っていきます。上からつくっていくことに。まずは天井板を張っていきます。
天井材の調達
当初なかなか適当な材が見つからないため、建築士サポーター経由で唐松で進めることにしていました。
そんな中、お付き合いのある製材屋さんから椹(さわら)の掘り出し物が見つかったとの連絡が入ります。価格的にも少し安くなるとのこと。
早速話に行きます。何でも倉庫の中で在庫としてあったものらしい。お願いすることに。
板と板の合わせ加工は本実(ほんざね)にしました。外壁で使った相じゃくりだと釘が見えて仕上がりがイマイチになるからです。
ただ釘打ちには少し技術が要るみたい。トライするしかありません。
ダンドリビスの調達
頭の小さい釘を釘締めを使って留めていくか、ダンドリビス(という名前があるんです)をインパクトで留めていくか。どちらかの方法です。「もむ」という表現をするんですね、大工用語は面白い。
ここでまたまたひと手間になるのが材料探し。まずホームセンターをのぞいてみます。これまでの経験上、見つかった試しがありません。早々にあきらめてネットで探します。
検索してもなかなかヒットしません。ここはリサーチが得意なヨメさんに任せます。「極細ビス」というキーワードだったみたい。この絵面がほしかった!
ネット検索はワード選びにコツが要ります。細かな話ですが、ここに行き着くまでに下手したら1時間くらい掛かってしまいます。
本実(ほんざね)加工の予習練習
本実(ほんざね)とは、板材と板材を接合する凸凹加工のこと。出っ張りがわずかに短い方が表面になります。見分け方がむずい!
釘を隠すのできれいに仕上がります。でもその分、難易度は上がります。板が薄く割れやすいので端材で練習。よし!始めていこう。
作業スタート
椹(さわら)は驚くほど軽い。外壁で使った唐松とは大違いです。
横寸法をとってカットするといきなり割れてしまいました。切り方が良くなったのかショックです。
最初の1枚をどう張ればいいのかいきなりわかりません。困ったときの建築士サポーター。本実の出っ張った方を手間に向けて張っていく、最初だけ真鍮釘を使うとのこと。本当に助かります。
ダンドリビスで留めていきます。どこまで埋めるか、割れないようにめちゃくちゃ神経を使います。
2枚目をはめようとしたらはまらない。板と板のつなぎ目が詰まり過ぎなのかとビスを緩めたり、そもそも板が反っていたり。いつもの天然材との向き合いが始まります。
両端からヨメさんと二手に分かれて留めていきます。慎重に割れないようにゆっくりじっくり。慣れるまでは亀の歩みです。
初日の出来栄えは8枚。電球を灯し明るく暖かくなりました。少しやり方が見えてきたので次回以降スピードアップしていきます。
2日目になるとだんだんとコツがつかめてきます。やり始めるまでは緊張の連続、進めていくとうまくいき始める。セルフビルドは「案ずるより産むが易し」ですね。
材の不具合
作業を進めていくと、材に節が目立ってきます。なかには穴が開いているものも・・・。これではさすがに使えません。
材には節のあるなしでランクがあります。今回はできるだけ節が少ない「上小節」で依頼しました。
「少し節があったからね」製材屋さんは言っていました。
でもふたをあけるとこんな状況。どうしたものか・・・。電話して相談すると差し替える在庫がない様子。状況を確認して節を埋めて使えるようにするとのこと。
意味がわかりませんが、取り急ぎ引き取りに来てもらいました。このあたりの予備知識をもっているとトラブル発生時に慌てなくて済みます。
生節(いきぶし)、死節(しにぶし)、埋め木
数日後、節の穴を埋めた材が出来上がってきました。こんな感じです。
気になったので少し調べてみました。すると節にも深い話があることがわかりました。
節は大きく分けて、「生節(いきぶし)」と「死節(しにぶし)」があります。生節とは、枝が生きている状態で巻き込まれたものです。そのため、生きた枝が沢山の葉っぱを抱えても折れないように枝とその周囲の幹の組織とはしっかりと結合しています。
死節とは枯れた枝が幹の中に巻き込まれたものです。枯れてしまった後に幹に巻き込まれたので、周囲の組織との結合はしていません。そのため、製材の仕方によっては、死節の部分だけ抜け落ちてしまうこともあり、その抜け落ちた節を「抜け節」と呼ぶこともあります。
「森ワク:日本の森がもっとワクワク」より引用
木は生き物です。枝を張るときに木の中にできるのが節。だからあるのが当たり前なんですね。
抜け節になった穴を埋める作業を埋め木と呼びそうです。今回は埋め木をやってくれたということだったのです。
節があることで材にロスが出る。ロスを出さないようにどうしていくか。材木屋さんにとって節は商売の生命線。どう付き合っていくかの歴史があったのですね。なるほど・・・。
節を生かしていくこともこれから考えていこうと思い直す良い機会になりました。
束柱まわりの加工
調子良くこのまま張っていけると思いきや、作業が止まってしまいます。まん中に立っている束柱。よけていかないといけません。
よける細工は外壁でいやというほど経験しました。ほんと日本家屋はところどころで細工の手間が出てきます。
採寸してあててみるとスキマがあいてしまいます。このまま進むのか別の方法があるのか?建築士サポーターへ電話します。
合わせるとどうしても5ミリ程度のスキマは出てしまう。後から覆うような細工をして隠す
こんな回答。なるほどじゃあこのまま進めようということに。スキマ有で張ったあと、さらに1列張ろうとしたら実(さね)がはまりません。にっちもさっちもいかない。日は暮れてくる。バッドサイクルです。
こんなときは早々に切り上げる。そうしないとドツボにはまります。
案の定、後日リベンジするとすんなりうまくいきました。束柱の接点に合わせて、天井板の細工部分に傾斜をつける必要があったのです。
椹(さわら)は柔らかい材、傾斜加工は電動工具ではなくカッターで削った方がうまくいきました。
力まず自然体
野暮用続きで2週間近く現地に入れず。あっという間に12月になってしまいました。
久しぶりに続き作業をやると、意外にスムーズに進みます。実(さね)がはまるか否かが作業性のキモ。それがうまくいきました。
あらかじめ数枚カットしておいてまとめて張った方が効率が上がります。当たり前のことですが、やりながら気づいていきます。
必死になるとうまくいかない、心に余裕をもつとうまくいく。学びの多い天井板作業が続きます。
70枚完遂!
もう一つある柱まわりに苦労しながら何とかクリア。あとから埋める前提でいくとそれなりに仕上がります。
最終予定日はほぼ5枚単位で寸法取りまとめてカットします。垂木が曲がっているので一度に同じサイズにはできません。
終盤に入ってやっと段取りが効率よくなります。
シャワーユニット設置箇所は足場がないのでまたがって作業。ユニットに負荷が掛からないよう細心の注意を払います。
そして最後の1枚。スキマが斜めになっています。これまで張ってきたちょっとしたズレがここで大きく出たわけです。
丸のこで斜めカットし、玄能を横にして叩きながら何とかはめ込み完了。
やりました!70枚張り切りました。意外に仕上がりがきれい。足場をとってスカッと見える景色が待ち遠しいかぎりです。
天井板作業のまとめ
材を何にするかから始まり、本実(ほんざね)の留め方、節の穴埋めなど数々の人生初を体験しました。
最初は隠しクギなんて本当にできるのかなあ?と不安のかたまりでした。でもやりながら何とかなるものです。
今回は二人作業でないと事は進まなかった。ヨメさん大工に心から感謝。
さあ、少しでも早く引っ越しできるように次の工程に掛かっていきます。焦らず急いで、頑張ろう。