my forest,my home。自分の森で自分の家をつくる。
ど素人アラカン夫婦二人が一級建築士のサポートを受けながら、森の中の6坪ハウスをDIYするプロセスを工程ごとにまとめた記録です。
石膏ボードの内壁、間仕切りと進み、フローリングで床ができました。いよいよ漆喰の壁塗装です。
漆喰ってどんなものでどうやって塗るの?すら理解していない状態からのスタートになりました。
実際に体験してみて、初心者が陥りがちなポイントを最初にまとめてみます。(※漆喰うま〜くヌレールを石膏ボードに塗った場合の前提)
- 1度目はできるだけ薄くざっくり、2度目はしっかり厚めに塗る。特に石膏ボードの継ぎ目部分に意識して。
- 隅っこのスキマは「ムニュ」とコテをあてるとうまく収まる。
- コテは力を抜いて手首をやわらかく。手が痛いのは力が入っている証拠。
- それなりに時間が掛かると思って作業に入る。
- 仕上げは細かなところに固執しない。後から修正すればいい。
漆喰作業は初めて・・・という方のお役に立てばうれしいです。
材料選び|漆喰うま〜くヌレール
壁塗装は漆喰でやる!ということだけは決めていました。さあ、どんな漆喰にしようか?そこからです。
ネットでいろいろと調べてみます。すると「漆喰うま〜くヌレール」という商品が見つかりました。YouTubeをみても作業性が良さそうです。
イチから粉を溶いてつくる工程もやってみたかったのですが、なにせ早く家を立ち上げていかないといけません。
時間効率や道具の入手を考えて、うま〜くヌレールに決定しました。
うま~くヌレールLABO体験ショールーム
メーカーサイトを見ると実際に体験ができるみたい。たまたま自宅へ戻っていたので、直近で東京ショールームでやっている回へ行くことにしました。
建物に入ると、さすがに漆喰一色。おしゃれに展示演出されています。
壁材ごとの施工方法サンプル展示。下地によって塗り方を変える、塗り方にもいろいろなやり方があるというのが視覚と触覚でわかります。
石膏ボードの場合は、継ぎ目にファイバーテープなるものを貼って、その上にパテ処理をする。下地処理ができた上に漆喰を二度塗りしていく。ふむふむ勉強しないと・・・。
漆喰+腰壁、まさにうちそのままの組み合わせです。色目が実際に見れたのが大きな収穫。やっぱり実際に見ないとわかりません。白一択だったのがクリーム色もありだとわかりました。
スイッチまわりがこんなふうになるというのも一目瞭然。今までこれが見えないまま作業してきました。
実際に塗ってみる体験もできます。漆喰をコテですくって壁へ持っていく方法、一度塗りと二度塗りでコテの角度を変えるなどのコツを教えてもらいます。
トイレのドアまわりはどうなっている?サッシまわりは?照明は?いたるところが気になります。
自分たちの事情に合わせた丁寧な個別レクチャーもしてくれて、これだけのおみやげまで受け取って無料!ほんと至れり尽くせりでした。
保管方法で悩む
メーカーのホームページで調べると、近日中に価格が上がるとの情報。作業は少し先ですが今買っておいた方が絶対お得です。迷わず購入。
一つ問題点が発生。保管をどうするか?製品は水分を含んでいるため凍結する場所はNG。ハウスのある場所は冬の季節、気温がマイナスになるので置いておけません。
となると仮住まいの狭いアパートという選択肢しかありません。1缶18キロのものを5缶、3階まで持って上がることに。腰が抜けそうでした。笑
漆喰は温度管理が重要なのですね。
作業前の予習
サッシまわりはパッキンの木を石膏ボードでサンドイッチ、スキマもあります。
下に金物があって継ぎはぎ、凸凹したところもあります。
金物で穴があいたところもあります。どうしたものか・・・?
そもそも何のための下地処理なのかすらわかっていない状態です。
検索して調べる、メーカーフリーダイヤルへ問い合わせる、サポーター建築士と相談するなどいろいろやりました。
- うま〜くヌレールを石膏ボードへ塗る際は下地用は不要。
- 下地処理は接着させるのが目的、ボードとボードの継ぎ目などはテープを貼ってはがれ防止する。
- 木材はあくが出て黄色くなる可能性があるので、あらかじめシーラーであく止めしておく。
- 気温が低いと乾かない。午前作業で午後からは乾かす。扇風機で室内の空気をまわす。
結論からまとめるとこんな感じ。
いろいろ探して見つけたサイト。100年以上の漆喰専門メーカーさんが運営。わかりやすくコンパクトな記事。動画もある。何よりプロなので信頼できる。とても秀逸です。
餅は餅屋、こんな感じで工程一つひとつでまとまったものがあると助かりますよね。
一般に漆喰にはサラッとしたものとボテッとしたものがある。サラッとしたものは凹みに留まらないのでパテなどで埋める。うま〜くヌレールはボテッとしているのでそのまま埋められる。
仕上げ用より下塗り用の方が接着力が強い。
木と石膏ボードでは収縮率が違うので割れてくる。テープで割れ防止をする。
下地処理1日目|シーラー・ビス埋め
こんな感じかなあ・・・作業に必要そうなものをひと通り買い集めました。井上工具という左官道具のメーカーがあるのを知ります。
予習そのままに作業開始。
シーラーなるものをサッシまわりの木パッキンに塗っていきます。あくと変色防止、さてどうなることやら・・・。
うま〜くヌレールを開封します。そこそこ力が必要、開封口が切れないよう恐る恐る。おもむろにこて板へ。結構やわらかい感じ。
ビスまわりは小さめのヘラの方がやりやすそう。以前コーキング伸ばしで入手したヘラを流用します。やりながらだんだん感触をつかんでいきます。
前日までのトンカン作業とは打って変わって、静かに黙々とやる作業。セルフビルドはいろんな場面に遭遇します。
石膏ボードの継ぎ目にテープを貼り始めます。継ぎ目からのひび割れが出ないようにするのが目的。付きがよくないのでヘラで押さえていきます。コツがいりますね。
これでいいのかなあ?とりあえず下地処理1日目は終了です。
下地処理2日目|石膏ボード継ぎ目テープと養生
石膏ボードの継ぎ目にテープ貼りが本格化。何度もやるとだんだんコツがつかめてきます。一つひとつ丹念にやっていく感じ。
継ぎ目のスキマ幅が広いところはあらかじめ漆喰で埋めた上でテープを貼るという順番です。どうしたらいい?というときフリーダイヤルへすぐ質問できるので助かります。
あと石膏ボードの切断面がそのまま出ている箇所があります。ここはどうしたらいいんだろう?フリーダイヤルへと質問。
すると吸水調整剤なるものを塗ってからがベストとのこと。なにそれ?ですね。
ネットで調べるとそこそこの金額。わずかしか塗る箇所はないしもったいないかなとサポーター建築士へ電話。「そこまで必要ないと思います」との回答。作業を進めます。
並行して養生もスタート。「漆喰施工は準備8割、塗り2割」の世界とのこと。特に養生は重要です。
天井板の端から2ミリほど開けてマスキングテープを貼っていきます。マスキングテープを剥がすとき塗った漆喰が一緒に剝がれないよう、塗りの厚み分を開けておくためです。
天井板の端は高さがあり手間が掛かります。ヨメさん奮闘。
間仕切り部分もマスキング&テープ貼りが進んでいきます。
石膏ボードの継ぎ目、養生の半分程度が完了しました。細かい作業、時間が掛かりますね。
下地処理3日目|ジョイントテープ部分の二度塗り
天井の一番高いところは壁との間に大きなスキマが空いてしまっています。どうしたものか・・・
これくらいのスキマ埋めには発泡ウレタンしかありません。でも発泡ウレタンの上にうま〜くヌレールはのるのかな?フリーダイヤルへ問い合わせします。
その日は日曜。にもかかわらずフリーダイヤルは平日同様にやってくれています。助かりますね。
発泡ウレタン使用は構造上GOOD。漆喰塗りのベストは下塗り用を塗った後に仕上げ用という順番。発泡ウレタンは水を吸わないから剥がれる可能性がある。接着力強化の意味もある。
というのがベストですが、そのためにだけに下塗り用を買っていただくのは恐縮。非公式ですが、もし私ならこんな方法で次善の策を打ちます。
担当の方はここまで丁寧かつ親身に回答してくれました。特に「非公式ですが、もし私なら」のフレーズが心に響きます。まさにユーザー目線ですね。
後々を考えベストの方法にします。まずはしっかり養生。
発泡ウレタンを入れた後に下塗り用。その場で下塗り用を追加発注してひと区切り。
石膏ボードの継ぎ目を埋めた後、その上から二度塗りをしていきます。半日置いて作業というのがマニュアル。
指を使って直接やる方が細かい作業ができます。
ダイソーのこの手袋、手にフィットして使いやすい。着けたままスマホがさわれるのがまたGOOD。
二度塗りを進めながら、それなりにテープ幅程度に広がった箇所を何で二度塗りするんだろう?と疑問が湧きます。
またまたフリーダイヤルへ。日曜のせいか何回か掛けてもつながりません。
しょうがないので作業続行。しばらくして折り返し電話が掛かってきました。着信記録で折り返している様子。
スキマを埋めると時間経過とともに漆喰がやせます。(凹んでくるという意味)それをなくすための二度塗りです。
遅くなったお詫びと適切な回答。一人ひとり丁寧で親切。何より製品への愛情を感じます。
すばらしい会社カラーを感じました。
通常やせるはずなのに、やせていないところはヤスリがけをした方がいいとのアドバイス。手間ですが全面修正をかけます。
さすがにバテたのでその日は早上がり。近所のお店で一杯、気分転換としました。
漆喰仕上げ塗り初日|手探りのままひと通り
いよいよ仕上げ塗り。やたらと力が入ってコテ板にのせた漆喰がボタっと落とすところからスタート。
何とか2面を仕上げてみました。この範囲で所要時間2時間強くらい。
梁の下部分の狭い箇所は難易度高し。慣れるしかありません。
際のところで1ミリ空けて貼ったマスキングテープを剥がしてみます。なるほどそういうことかとわかります。
ヨメさんはトイレの2面を仕上げます。壁と壁が出会う凹んだ部分を入隅といいます。ここの仕上げはムズイ。専用のコテが要るかも。
トイレの1面は応援。ちょっと変化をつけてみました。ほんとは全部やるもの?笑
午前に塗り、午後は乾かすが基本のながれ。でもやり足りないので玄関の壁にも着手しました。
途中で養生や狭い棚部分の塗りなどが入り、気づくと夕方までやってしまいました。
こんな感じで仕上げ塗り1日目は終了。
漆喰仕上げ塗り2日目|何となく要領をつかむ
前日塗った箇所を確認します。洗面スペースで、石膏ボードの枠が浮き出ています。さあどうしたものか?
すぐにフリーダイヤルへ問い合わせ。
ボードの継ぎ目部分の塗り厚が出ているのでは?サンドペーパーで削って再度塗ってみてください。
との回答。え〜っ!面倒ですがやるしかありません。石膏ボードの継ぎ目は薄く塗らないとだめみたいです。
上からやろうということでロフトの壁を塗っていきます。
午前中でボードほぼ4面分を塗り終えます。
壁と天井にできたスキマ埋めは、コテの端に漆喰をのせ、「ムニュ」と押すとうまく埋まります。100年漆喰メーカーサイトのおかげです。
お待ちかねの下塗り用が届きました。入隅、出隅専用のコテも購入。
下塗り用はまるでマヨネーズ容器。中身はホイップクリームみたい。だから「たべられません」なのでしょう。笑
サッシまわりで木のパッキンを石膏ボードでサンドイッチしている箇所をピンポイントで塗っていきます。
コテはマメに洗わないといけません。このコテは洗いやすいので便利です。道具のメンテは見落としがちなポイントですよね。
ステンレスのコテも使ってみましたが、硬いと結構疲れます。うま〜くヌレールには専用コテの方が良さそうです。
午後からの雨はみぞれ、雪になって、またまたガッツリ降りました。3月になって何回も、変な気候です。
巾木に掛からないといけないので今日の漆喰作業はここまでにしました。
漆喰仕上げ塗り3日目|接着部分は下塗り用
前日の大雪でテントとタープの復旧作業から。朝イチから作業というわけにいかないのが自然相手。
リビングの塗りに入ります。室内で最大面積の箇所。2時間かけて1度目塗り完了。1度目塗りの方が時間を要します。
ヨメさんは下塗りと養生担当。コロナマスカーで窓を覆います。ホームセンターでこれ何だろう?と思っていました。テープにビニールがついた優れものです。
カットするのだけが少々難点。包装にはミリサイズでビニールの幅が表示されています。
下塗り用はサッシまわりで木のパッキンを石膏ボードでサンドイッチした箇所を塗ります。接着の用途です。
午後から2度目塗り。2度目は下地がある分、少し早く作業が進みます。15時すぎに完了。夜に予定があるので今日はこれで早上がり。
漆喰仕上げ塗り4日目|1回目はざっくり、2回目でしっかり
厚みがあるので紙やすりで削って落ちた漆喰の粉。水拭きすると床材が黄に変色してしまいました。まいったなあ、どうしよう・・・。
フリーダイヤルに問い合わせても木材のことはわからないと。困ったときのサポーター建築士。電話すると即回答が来ました。
漆喰は水を加えるとアルカリ性になる。それが木の繊維に浸透すると変色する。薄い酸を加えると修正できる。化学反応なので汚れではない。すぐに対応しなくても後からでOK。
ほっとひと安心、さすがプロですね。漆喰の水拭きは厳禁と学びました。
電話でのやりとりを終え、作業スタート。前日の続きで塗り面積が一番多い壁に掛かります。
二人でガッツリ、午前中で1回目を終えます。石膏ボードに塗るときはざらつき感があってスムーズに塗れない分時間が掛かります。
午後から2回目の塗り。「1回目はざっくり、2回目でしっかり」というのが良さそう。4日目にしてコツが見えてきます。
うま〜くヌレール専用コテはプラスチックでしなりが出るから塗りやすく疲れが半減。もちろんプロの左官屋さんは違うのかも?
新しい面に移るため養生します。コロナマスカーテープは粘着力が強いので、あらかじめマスキングテープを下に貼ります。
これも100年漆喰メーカー発信の情報。神は細部に宿ります。
入隅で専用コテを使ってみます。入隅はこれなら一発ですね。
サッシまわりはかなりムズイ。壁と同時進行しないと乾き方が違うとやりにくくなります。あ゛~を繰り返して覚えていきます。
ここまでで3缶弱終了。在庫はあと2缶、ちょっと足らないかなあ・・・。
部屋の半分が完了。かなり家らしくなってきました。よくここまで来れたなあ・・・少々感慨深い気持ちに。
漆喰仕上げ塗り5日目|出隅に苦労
トイレで残っていた面の仕上げ。
リビング表面の1回目と2回目の半分。午前中は終了。それにしても腕が痛い。変に力が入り過ぎているのかな?
道具を洗ってお昼休み。コテで板をこすると取れやすい。日々いろいろわかってきます。
大きなサッシまわりの出隅に掛かります。まったくうまくいきません。どうしたものか・・・。
出隅専用のコテは先端のみで角度をつけてあてるとうまくいくことがわかりました。かすれた箇所には漆喰をちょい付けして再度ならしていきます。
そこそこの出来栄え。これで良しとします。
リビングが仕上がりました。いやあ、時間が掛かる。今回も思っていたより工程は後ろ倒しです。
漆喰仕上げ塗り最終日|ロフト部分
さあ、今日で終わらせるぞ!洗濯機置場とトイレの上からロフトにかけてを手分けします。
次にロフト天井と壁の交差する一番高い箇所にかかります。スキマが大きく開いているので発泡ウレタンで埋めました。
その上に下塗り用、さらにその上に仕上げ用を塗って完了。
最後に隅っこの部分を塗っていったん完成。際のところや凸凹した箇所は住みながら修正することにしました。
部屋の半分全景。
あと半分全景。いやあ、明るくなりました。
5缶購入したうち、1缶の半分程度を残して終了。手直しまでしばらくお休みしてもらいます。
まとめ
今回も時間を要しました。結局下地処理で3日、仕上げ塗りで6日の合計9日間。「2、3日あれば終わるんじゃない?」と言っていた自分が恥ずかしいです。
このくらいの面積だったら1日でいけるだろう・・・というのが甘い。朝から始めて気が付いたら13時すぎという日がたくさんありました。
漆喰塗り作業にはそれなりに日数を読んでスケジューリングすることをおすすめします。