「いつか自然に囲まれた暮らしがしたい」「自分らしいセカンドライフを始めたい」
そんな想いが芽生えるのは、会社人生の終盤を感じはじめる50代、60代ではないでしょうか。
けれども、いきなり移住というのはハードルが高いもの。だからこそ、最初のステップとして「二拠点生活」が現実的な選択肢として注目されています。
ただし、勢いだけでスタートしてしまうと、時間もお金も予想以上にかかってしまうのが現実。後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔する人も少なくありません。
この記事では、僕たちアラカン夫婦が実際に「森と町の二拠点生活」を7年以上続けてきた経験をもとに、失敗も含めたリアルなノウハウをステップ形式で整理しました。
「これなら、自分にもできるかもしれない」──そう思ってもらえることを願って、一つひとつお伝えしていきます。
STEP1:どんな暮らしがしたいのか?「暮らしの設計図」を描く

まず何より大切なのは、「自分はどんな暮らしがしたいのか?」を明らかにすること。手段(山を買う、家を建てる、DIYする)に走る前に、「理想の暮らし方・働き方」をじっくり言葉にしてください。
- 平日は町、週末は森?
- 仕事は?リタイア後?
- 一人で?家族で?犬や猫は?
答えはひとつじゃなくて構いません。漠然としたイメージでも、紙に書き出すことで現実味が帯びてきます。最初の一歩は、いつだって「言葉にする」ことからはじまります。
STEP2:拠点エリアをしぼる

「海がいい」「森がいい」「里山も捨てがたい」・・・気持ちはわかります。でも、広げすぎると候補が絞れず、動きが止まってしまいます。
どういうエリアにするかをある程度決めていきます。
エリアを選ぶ基準は主に3つ。
- 理想の自然環境があること
- 通える距離(例:自宅から3時間以内が目安)
- 自分と相性の良い「地域の空気感」があること
実際に訪れて、土地のにおいや人の雰囲気を感じてみることをおすすめします。ネットだけじゃわからない「フィーリング」って、意外と大事なんですよ。

そうそう、その土地ならではの感覚は、その地に立たないとわからないものです。
STEP3:理想の条件をリストアップする


自分にとっての「理想の拠点」とは何か?を具体化しましょう。頭の中だけではまとまらないので、思いつくまま書き出してみてください。たとえばこんな感じです。
- 木に囲まれている(樹種や見たイメージ)
- 敷地の広さ(最低○坪)
- 隣家が近すぎない
- 予算上限は○○万円
- 車でのアクセス性(冬の除雪も含む)
僕たちは「木立のきれいな樹種に囲まれた、建物が建てられる500坪以上のフィールド」を基準に探していました。



もちろん他にも条件はあったけど、これだけは譲れないを決めないと前に進まなくなります。
STEP4:物件を探す


いよいよ物件探し。情報収集には以下のような方法があります。
- Google検索:「○○エリア 山林」「○○エリア 別荘地」など
- マッチングサイト:田舎暮らし系や土地売買サイト
- 地元の不動産会社
- 市役所や役場:空き家バンクや移住相談窓口
- 現地の知り合いや地元ネットワーク
なかでも現地の知り合いがいると心強いですね。現地の生きた情報は現地で暮らしている人が一番。
物件で注目したいのが「別荘地」。生活インフラ(上下水・電気・ネット)がすでに近くまで来ているケースが多く、森の暮らしを現実にしやすいのがメリットです。



煩わしくなりがちな地元との付き合いもほどほどなのが別荘地。ここもメリットですね。
STEP5:現地を見に行く


気になる物件があれば、必ず現地確認に行きましょう。ネットはファーストコンタクトに過ぎません。
物件情報は物件そのものの写真しか掲載されていないケースがほとんど。周辺環境がどうなっているかは現地に行かないとわかりません。



良さそうな物件だなあ・・・と思って現地に行くと、隣り近所で家が建っていた・・・なんてケースはよくあります。
物件を見るときの主なチェックポイントはこんな感じです。
- 接道(建築に必要な法的条件がある)
- 境界杭(あいまいな場合は注意)
- 水道や電柱の位置
- 土地の傾斜、地盤、水はけ
- 周囲の雰囲気や住人の存在感
- ハザードマップ(斜面崩壊や土砂リスク) など
1日では見切れないことも多いので、時間に余裕をもったスケジュールと、できれば複数回訪れてください。天気や時間帯、季節によって、同じ場所でも全然変わります。
STEP6:契約・登記手続き


さあ、いよいよ購入段階です。地元の不動産屋さんと手続きを進めましょう。信頼が置ける業者さんと出会えるといいですね。
主な手続きの流れはこんな感じです。
- 重要事項の説明、売買契約の確認(建築制限や別荘地なら管理規約の有無も)
- 登記手続き(司法書士に依頼、もしくは自分で)
- 名義変更、固定資産税の把握



ちなみ僕たちは登記を自分で行いました。やってみると意外に簡単ですが、現地で平日、手続きの手間などを考えると専門家に頼んだ方がいいです。
STEP7:土地の整え


さあ、いよいよ森の暮らしのはじまりです。まずは土地フィールドを整えるところからです。主なものはこんな感じです。土地の広さによって必要不要が出てきます。
- 草刈り(まずは見通しを確保)
- 倒木や不要な木の処理
- 土地の整地・伐根・整地(それなりの広さがある場合)
- 小道づくり、デッキやベンチ設置(それなりの広さがある場合)
最初はスコップと鍬とノコギリで十分。特別な道具は要りません。無理せず「小さくはじめる」がコツです。
やり始めると「こんなこともやらないといけないんだ・・・」と予期せぬ事態が発生します。ハプニングも愉しみの一つでとらえるのが森の暮らしづくり。
都会では決して味わうことができない体験をしていきましょう。
STEP8:生活インフラを整える


次は、生活を成り立たせる基盤づくりです。必要になるのは下記ですね。
- 上水道:別荘地なら引き込み可能なことが多い
- 合併浄化槽の設置:別荘地、山林には下水道がない場合がほとんど
- 電気:近隣の電柱から分電可
- ネット:光回線が来ていない場合はモバイルWi-Fiやスターリンク
- トイレ:簡易水洗かバイオトイレも選択肢にあり
どれも生活に必須のものばかり、それなりに費用も掛かります。準備段階からコスト試算をしておきましょう。



下水道が来ている場所は近隣に家がまとまってあったり・・・。メリットとデメリットは表裏一体なんですよね。
STEP9:家を建てる


そして自分たちの拠点づくりの段階です。方法としては、中古物件を購入手直しする、セルフビルド、工務店に頼むといった選択肢です。
自分たちがどうしたいのか、コストと時間と手間、安全性などを加味しながら決めていきます。
自分の手で進めていく場合は下記が主なチェックポイント。ただし、じっくり取り組む前提です。
- 最初は「仮設小屋+タープ」という選択肢も
- 工具が使えるよう、電気の確保が最優先「仮設電柱」を立てる
- トイレ・水道も必須。どのタイミングで工事するかを考える。
すべてを一気にやろうとしないこと。「必要なときに必要な分だけ」整えるのが長続きの秘訣です。



僕たちは母屋セルフビルドから入るという超イレギュラー。でもその分、小屋の増築などそこそこスムーズにいきました。
STEP10:森の手入れをする


こうして拠点づくりができたら、自分の森の手入れを始めていきます。やることはこんな感じです。
- 木の剪定や間伐
- 草刈り
- 畑やガーデニング
- 落ち葉掃きや小道づくり
日々森と向き合うことで、少しずつ「森との関係性」が深まっていくのを実感できるようになります。奥行きの半端なさを感じてください。



道具を揃えていくのも愉しみの一つ。だんだんと自然と共に生きる感覚が養われていきます。
STEP11:To be continued…


二拠点生活に「完成」はありません。でも、だからこそ面白いんです。
少しずつ進化していく「未完成の暮らし」をどうぞ愉しんでみてください。
まとめ|まずは「自分の中の声」を聴いてみる


「ほんとうはどう暮らしたい?」「どんな景色の中で、どんな時間を過ごしたい?」
その答えは、あなたの中にあります。僕たちは、その一歩をともに踏み出すサポートをしています。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。森の入口で、お待ちしています。
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