町と森を行き来するライフスタイル「通い森暮らし」。前回は「通う」についてのリアルな話でした。

今回は、少し違った視点で森との接点で心が整うという話です。といってもなかなかイメージしづらいですよね?で体験談を交えながらお伝えしていきますね。
都会にいながらにして、森の暮らしをはじめていきたい・・・漠然と思い始めた人のお役に立てばうれしいです。
最初はただの“荒れた土地”だった

今の拠点となっている森の土地に、初めて立ったときのこと。
そこは斜面で、足元には枯れ枝や倒木、雑草に覆われ、まるで獣道のような荒れた風景でした。
「ここで、本当にやるの?」そんな思いがよぎったのを覚えています。
一方で先のことまで考えていない自分がいました。決めたんだからとにかくやろう!なぜか腹の底で決まった感覚。
その日から、町と森を通いながらの開拓作業が始まりました。
通うことで、森の声が聞こえはじめる

それから数ヶ月、通い続けるうちに自分の感覚に変化が表れていくのがわかります。
日によって違う光の入り方、風の流れ、湿った土の匂い。「ここは朝日がよく入るな」「この木は鳥がよく止まっているみたい」
森が少しずつ、自分に話しかけてくるような感覚がありました。
当初の半年強、テント泊しながら布切れ一枚で森と接する。地面からダイレクトに伝わってくる温度。
秋になると木々の様子は一変、一面に落ち葉が積もり、冬になると雪が降る。春には小さな芽吹きを見つけたり。
身近なところにいると、森の中では日々「変化」が起きていました。変化を感じるたび興味関心が湧いていくのでした。
手を入れるたび、森が応えてくれる

土地を整えるには、まず地面を掘る作業からがスタート。ところが、これが想像以上に大変でした。
スコップを入れるたびに、次から次へと太い根っこが現れて、まるで森と綱引きしているよう。出てきた根っこを一つひとつ手ノコで切っていく丹念な作業。
掘り起こした土は、一輪車に乗せて、何往復もして運び出す。日頃、土を触ることすらなかった自分たちが無心で土と向き合っている。
ただ、目の前のことに一生懸命になって、汗を流す。余計なことは何も考えない、真っ白な時間。そのシンプルさが、とにかく心地よかった。
その後始まった小さな家づくりもまた、地道でコツコツ時間をかけながらの積み重ね。建築のけの字もしらないずぶの素人、「人生初」の連続。

基礎の位置を決め、固い地面に深く穴を掘るところから、土台を水平に整え、柱を立て、梁を渡し、屋根をつける。
一つひとつの部材をその場で寸法を測り、切り出して組み上げていく。

図面通りなんてなかなかうまくいかない。でもやってみる。やってみて、また修正する。「この先どうなるんだろう・・・」途方に暮れるときもありました。
不思議と怖さはなくて、「次はここをやってみよう」と、歩を進める感覚がまるで自分の人生そのもののようでした。
整っていくのは、森だけじゃなかった

森に通い、手を入れ、風を感じて、余裕のない中でもたまに焚き火を囲みながら語る時間。
気づけば、整ってきたのは土地や家だけじゃなく、自分の「暮らし感覚」でした。
伐採はゼロに戻る時間のようになり、一日の作業が終わった後のごはんとお酒がとんでもなくうまい。
夫婦の会話も、森にいると不思議に自然体になれる。
誰かに見せるでもない、自分たちだけの「森の居場所」が少しずつ根づいていったように思い返します。
森は急がない。でも、ちゃんと応えてくれる。

手を入れるほどに変わり、愛着が湧く。
通い続けることでしか見えてこない景色がここにはあります。
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